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円相場

 10日の米ニューヨーク外国為替市場で円相場が一時、1ドル=152円台まで下落し、1990年7月以来、約34年ぶりの円安ドル高水準となった。米国の物価指数が市場予想を上回って上昇し、利下げが遅れるとの見方が拡大。ドルを買って円を売る動きが進んだ。市場では、政府・日本銀行による為替介入への警戒感が再び高まっている。

 10日に米労働省が発表した3月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で3.5%上昇と、市場予想の3.4%を上回った。

 日本銀行は3月の金融政策決定会合で大規模な金融緩和策を転換し、17年ぶりの利上げに動いた。ただ、日銀は現状では急激な利上げを進める必要はなく、当面は緩和的な状況が続くとの考えを示している。そのため、低金利が見込まれる円を売り、高金利が続きそうなドルを買う動きが進んでいる。

 3月半ばまで1ドル=149円台前半で動いていた円相場は、日銀の政策転換後に150円台後半まで下落。3月27日には約34年ぶりの安値(151円97銭)をつけていた。

 節目の152円を超えたことで、市場では政府と日銀が円安是正の為替介入に動くとの警戒感が一段と強まっている。鈴木俊一財務相は9日午前の記者会見で、「為替市場の動向を高い緊張感をもって注視するとともに、行き過ぎた動きに対してはあらゆる手段を排除せずに適切な対応をとりたい」と述べ、市場を牽制(けんせい)していた。

 財務省と日銀は1ドル=145円台まで円安が進んだ2022年9月、24年ぶりに円買いドル売りの為替介入に踏み切った。介入の効果は続かず、同年10月には151円94銭まで下落し、再び為替介入を実施した。ただ、昨年11月に151円92銭まで円安が進んだ際は、介入はなかった。(山本恭介)

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